今回はモルタル外壁について解説致します。
今ではすっかりサイディング外壁が主流の時代ですが、モルタル外壁には魅力的な要素も結構あるんです。
そんなモルタル外壁についてお伝えしていきます。
【外壁アドバイザー】大屋敷竜二
塗装職人歴28年。中学卒業後、塗装業界に入り様々な会社で経験を積む。 塗装以外にも多能工として現在も修業中。
◎主に参加していた有名な現場:TDL・東京タワー・有名宿泊施設・戸建て・マンション等
Contents
そもそもモルタルって?

モルタルとは、砂と水とセメントを混ぜて作った材料のことを言います。
セメントと砂の重量比はセメント:砂=1:2〜3程度で混合されている場合が多いです。このモルタルを塗った外壁を、モルタル外壁と呼びます。
セメントが主成分のため、耐久性が高いのが特徴です。
施工もしやすいため、住宅や商業施設など多岐にわたる建物に採用されています。
しかし、時間の経過と共にモルタル壁は劣化し、美観を損ねるだけでなく、建物自体の安全性にも影響を及ぼすことがあります。
そのため、定期的な点検とメンテナンスが必要不可欠です。
ひび割れが発生した場合には速やかに補修を行なうことで、取り返しのつかない深刻な外壁ダメージを防ぐことが出来ます。
日本でモルタル外壁が普及した理由



モルタル外壁のメリット・デメリット




モルタル外壁の特筆すべき特徴はバリエーション豊かな仕上がりと言えるでしょう。
サイディングやタイルといった建材のように張っていくのではなく一軒ずつ丁寧に職人が塗っていく工法になります。つまり同じ仕上がりの住宅は一軒もなく、良くも悪くも職人の技術力がはっきり現れる外壁になります。
また、サイディングの場合必然的にボード同士の継目(目地)が出来てしまうのですが、塗るモルタルは継ぎ目がなく非常に綺麗な仕上がりなのも特徴です。
メリット
- 意匠性に優れる
- 質感がよく味わい深い仕上がりになる
- 金属製サイディングのように壁表面が熱くなりにくい
- 窯業系サイディングのように目地が無く、コーキングの心配がない

ニッポンの職人技を見る
左官屋の棟梁の漆喰(ジョリパッド)を塗る技を見せて貰った。「長年やってますから(笑)勲章貰える迄頑張ります(笑)なんせ左官ですからね、昔は偉かったんですよ(笑)宮廷に出入りする位ね」#後世まで伝えたい日本のオヤジ像 pic.twitter.com/L8DK6jlEtW
— 企画のへそ【公式】 (@showcre_sashigo) June 2, 2024
デメリット
- ひび割れが起こりやすい
- 仕上がりが凹凸をつけるような仕様の場合、汚れが溜まりやすい
- セメントが主成分のため、モルタル部分の防水性は低い
- 職人による手塗りのため、工期が長い

モルタル外壁に見られる4つの劣化症状とメンテナンス方法

モルタル外壁は表面に施された塗装の経年劣化によって防水機能が低下すると様々な劣化症状が発生します。
- 水が浸入してしまう「ひび割れ」
- 触れると塗料の粉が付着する「チョーキング」
- 水が滞留している証拠「コケ・藻」
- 塗膜の付着力が低下し発生する「浮き・剥れ」
一般的に外壁のメンテナンス時期は10年前後と言われています。
この記事を機会におうちの劣化状況を確認してみましょう。
①水が浸入してしまう「ひび割れ」

モルタル外壁にとって避けて通れないのがこのひび割れ(クラック)です。
経年劣化によって発生したり、乾燥過程で収縮を繰り返すことで起こったりもしますし、地震や地盤沈下によって発生したり原因は多種多様です。
ひび割れ(クラック)は大きさや幅によって2つに分類されます。
ヘアークラック
幅0.3mm以下、深さ4mm以下のひび割れ(クラック)を言います。
建物の構造や内部の鉄筋に達している可能性は低いのでメンテナンスの緊急性はさほど高くはありません。
しかし、塗装する場合は、塗料の塗膜ではひび割れ(クラック)は防ぎにくいので補修の必要があります。
構造クラック
幅0.3mm以上、深さ4mm以上のひび割れ(クラック)を言います。
ヘアークラックよりもひびが大きく、雨水の侵入口になります。
気づかなかったり放置してしまったりして水が浸入することで建物内部の腐食や鉄筋の錆など引き起こす可能性があるため、コーキング等の補修が必要です。

おはサンユウ🙌
外壁のひび割れには大きく分けて2種類✌️
髪の毛のように細いひび割れ(ヘアークラック)と
深く横幅のあるひび割れ(構造クラック)。さてどちらがすぐに補修が必要でしょう?!
答えは一目瞭然、構造クラック!!
放置しないでお近くの塗装屋へ🙌今日も1日頑張りましょう💪 pic.twitter.com/ZcU17mUPD2
— 豊川・蒲郡・豊橋のサンユウ(参邑)外壁塗装・リフォーム、お家のことならお任せ (@sanyu33toyokawa) October 26, 2022
モルタルひび割れ。 pic.twitter.com/mILXSyGSwb
— やつらだ (@cwDHfNPs9lICVnO) October 1, 2023
②触れると塗料の粉が付着する「チョーキング」

モルタル外壁表面に触れてみると、手にチョークのようなものが付着する症状を「チョーキング」といいます。
塗料の樹脂が劣化して、防水機能が失われ始めているサインです。
モルタル外壁は主成分がセメントなので、塗膜の防水機能が失われると、壁の内部に浸入してしまいます。
サイディングよりもチョーキングが発生してからメンテナンスしないと不具合が起こる猶予はあまりないかもしれません。
③水が滞留している証拠「コケ・藻」

モルタル外壁の塗料の防水機能が低下して水が滞留しやすくなることでコケや藻が発生します。
美観をそこなってしまうのはもちろんですが、コケは<根酸>と呼ばれる酸性物質を放出して、本来アルカリ性であるセメントを中性化してモルタル自体を脆くさせてしまうのです。
④塗膜の付着力が低下し発生する「浮き・剥れ」

経年劣化によって壁表面の塗膜の付着力が低下し、塗膜がモルタル外壁からうきあがったり、剝れている状態です。
ここまで進んでしまうと、外壁を保護する機能はほとんどありません。
剥れてしまっている部分からどんどん雨水が浸入してしまうため、早急にメンテナンスを行う必要があります。
経年劣化によって塗膜の剝れや浮きがいきなり発生する事例はあまり多くはありません。
日々のそれとない確認でもいいのでおうちの状況をながめてみるといいでしょう。
少しでも気になったら専門業者や当記事を確認して状況判断をしていきましょう。

モルタル壁の補修方法

モルタルに上記で紹介したような経年劣化による症状が見られた時、どのように対処すれば良いのでしょうか?
主な方法は2つ。自分で補修する方法と、業者に補修を依頼する方法です。
まずはDIYで出来る範囲での方法をご紹介します。
自分で補修する方法
スプレータイプの簡易補修
ホームセンターなどに行くとスプレータイプの補修材(防水材)をみかけると思います。
ただしこれは簡易補修的なものなので過度な信用は禁物です。
考え方としては、一時しのぎという言葉が正しいかもしれません。
- 補修する部分の汚れを落として乾燥させる
- ひび割れしている部分とその周辺に補修材を吹きかける
- 乾燥後、必要に応じて塗装をする
汚水があふれてたお店のタンク。
今朝、無事にくみ取り完了。
業者さん、やはり雨水が入ってるんでないかと。
ハイターしまくって乾燥したのでコンクリの裂け目を市販のモルタルスプレーで塞いでみた。
素人作業なのでキレイには塗れない。
これで大丈夫かなー?
もう1本要るかなー? pic.twitter.com/XdsPTzDWgL— 山本 泰弘(紀伊の里漢方薬舗) (@su3wakayama) June 28, 2018

セメント系(粉体)タイプの簡易補修

こちらもホームセンター等で色々な種類があります。
こちらはスプレータイプよりも信用性が高いですが、難易度がグンとあがります。
それに加えて、余った材料の保存が湿気等により難しい事や、補修跡が目立ちやすいというデメリットがあります。
- 補修する部分の汚れを落として乾燥させる
- ドライバーなどを使ってひびの中をキレイにする(若干抉る)
- ひび割れしている部分に、コテなどを使って補修材を塗りつける
- 乾燥後、必要に応じて塗装をする
自宅のモルタル壁亀裂を補修完了!パテ埋めした部分に上塗りしたペンキの色が馴染まないけど、DIYってことでまあいいか…。(汗)
— 坂田正明/ヤマシギ堂 (@YamashigiDo) April 9, 2018

プロの業者に相談するタイミング

大規模なひび割れや剥がれ、水漏れや湿気の発生、そしてモルタル壁全体の劣化が見られる場合は、自分で何とかするよりもプロの業者に依頼することが最善の策です
。
これらの症状は、建物の構造に重大な影響を及ぼす恐れがあるため、専門技術による対処が必要になります。
特に、構造的な問題を引き起こす可能性がある大きなひび割れは、建物の安全性を損なうリスクが高いため、すみやかに専門家の介入を受けましょう。
後悔しない家探し(クラック篇)🏘️
外壁等のひび割れには、ヘアークラックと構造クラックがあります🧐
幅0.3㎜未満のヘアークラックは特に補修の必要はありませんが、絶対に放置すべきでないのが構造クラック🤔地震や施工不良、地盤沈下が原因のケースも😱ゾ~
特に真横に伸びたクラックは要注意です😠 pic.twitter.com/xPHzudngij— 池田浩一 (@k_ikeda1127) February 15, 2022
さいごに
今回は、モルタル壁の基礎知識、DIYでの補修の方法からプロに依頼すべき劣化症状までを解説しました。
モルタル壁は美観性が高い反面、劣化が進むとひび割れや剥がれが発生しやすく、定期的なメンテナンスが必要です。
小さな補修作業はDIYでも可能ですが、適切な知識と材料が必須となります。
一方で、大規模なひび割れや剥がれ、水漏れや湿気の発生などの症状が見られる場合は、専門の業者への依頼が不可欠です。
記事をご自宅の診断の目安や、参考書としていただけたら幸いです。
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