今回は、フローリング塗装を自分でやろうとしている方に向けて解説していきます。
フローリングは普段足で踏んでいる部分なので、非常にゴミが溜まりやすく汚れやすいです。
塗料を適当に決めたり、間違った塗り方をしてしまうと、取り返しのつかない事になる可能性も大です。
DIYで行うときの注意点や塗料の種類・塗り方について、情報をいれてから作業に入りましょう。
【外壁アドバイザー】大屋敷竜二
塗装職人歴28年。中学卒業後、塗装業界に入り様々な会社で経験を積む。 塗装以外にも多能工として現在も修業中。
◎主に参加していた有名な現場:TDL・東京タワー・有名宿泊施設・戸建て・マンション等
Contents
そもそもフローリングとは?

フローリングとは、主に洋室やLDKなどの住宅の床材として使用される木質系の建材です。
住宅に使用される床材はひとくくりにフローリングと呼ばれることが多いですが、フローリングとは一般的に木質系の建材をベースにしたものを指します。
賃貸住宅の床や、洗面所などの水回りに使用されているクッション性のある床材は、フローリングではなくフロアタイルやクッションフロアと呼ばれる合成樹脂製の床材であることが多いです。
サクラやナラ、ブナなどの広葉樹を厚さ15~18mm、幅60~100cm程度の板材にして敷き詰めるのが一般的で、畳やカーペットに比べて手入れがしやすく、ダニやカビなどの心配が少ないことから人気があります。
また、木が持つ美しい木目や自然な色といった風合いが魅力で、質感に温かみがありお部屋を落ち着いた雰囲気に変えられるほか、触れたときの気持ち良さや木の香りにも癒されます。
フローリングには、無垢板や集成材で作られた単層フローリングと、合板等の表面に薄い天然木を張った複合フローリングなど、種類があります。
また、階下への遮音性を高めたタイプや防汚対策がしてあるものなどもあり、そのグレードによっても価格が異なります。最近では、ダニやハウスダストを抑えられる抗菌仕様のものや、床暖房などフローリングも多様になっています。

フローリングの貼り方が変わるだけで、何故かお洒落に見える
一度住んで見たい😃 pic.twitter.com/ld2YswnwfT— 公式X @GrandConfort (@XGrandConfort) June 26, 2024

フローリングを塗装する際の注意点とは?

自宅のフローリングを塗装すると、部屋の雰囲気が大きく変わるものです。DIYも増えてきている昨今では自分で塗装しようと考える人もいるでしょう。
ご家庭でできるメンテナンスで、お部屋を美しく整えましょう。
フローリングをご家庭で塗装する方法の前に注意点をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
段取りが大変
まずはフローリングのメンテナンス・塗装をするにあたってとても大切なのが段取りです。
段取りとは、実際に塗装するにあたって行う下準備の事を言います。自宅の床のフローリングの種類は何かを知る必要があります。
さらに広さはどれくらいで塗料はどの位必要なのか。
またはワックスはどの位必要なのか。
家具や荷物、塗っていく順番はどこから初めて、どこにでていくのか。乾燥はどれくらいかかるか。…etc
上げ始めたらキリがない程だったりします。
フローリングは家具や生活を支えて、それらの影響を最も受けやすい部分になります。

今日はダスキンさんのフローリングワックス施工。2人がかりで古いワックスを剥離してもらってるんだけどかれこれ4時間近くかかってる。手作業で四つん這いだから大変なお仕事だなぁ…。
アイツらは洗面所に隔離中😂 pic.twitter.com/neW9JoDbKd— 姐(祥子) (@shoko_8love) April 14, 2021
今日はダスキンさんのフローリングワックス施工。2人がかりで古いワックスを剥離してもらってるんだけどかれこれ4時間近くかかってる。手作業で四つん這いだから大変なお仕事だなぁ…。
アイツらは洗面所に隔離中😂 pic.twitter.com/neW9JoDbKd— 姐(祥子) (@shoko_8love) April 14, 2021
フローリングの種類
ここからはフローリングの種類についてお話します。
フロアタイルやクッションフロアは床材ではありますが、厳密にいうとフローリングとは異なりますので割愛します。

木材の一枚板をそのまま加工して床材にしたものを無垢フローリングと呼びます。
内部まで天然素材の1枚板のことをいい、1枚1枚のパーツが全く別の表情を持っているため、独特な風合いを楽しめます。樹脂コーティングされた複合フローリングよりも自然な反射で温かい雰囲気に仕上がります。
メリット | デメリット |
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合板等の木材を基材とし、表面材に無垢の単板や化粧シートを貼り合わせたものを複合フローリングと呼びます。
マンション等では、裏面に遮音性マットを貼り付けた防音フローリングが使用されます。
メリット | デメリット |
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フローリング塗装の目的とは?

フローリングは無垢材を使用した無垢フローリングと集成材を貼り合わせた複合フローリングに分類されることがおわかり頂けたと思います。
そして基本的には表面の保護の為に、どちらにも塗装が施されていると考えて頂いて問題ありません。
ここではフローリング塗装の目的を解説します。
フローリング表面の保護
一言で言うとこれに尽きます。
フローリングは年月とともに、表面を保護していたコーティングが薄くなり、衝撃や擦れによって、はがれてしまい表面の膜がなくなってしまうといよいよ腐食したり毛羽だってささくれが刺さってしまう事もあるのです。
フローリング腐った✋おつかれ✋ pic.twitter.com/ZMZT55rSRY
— しぃたん(🦥) (@shihori49) December 6, 2020
フローリングのささくれみたいなのが足の爪の間に刺さりよった…( ノД`)イテェ pic.twitter.com/5DgIKh53DH
— RougeRat@芝虎 (@RougeNoeL_wiz) June 16, 2020

おすすめの塗料について

フローリングの塗装材は、大きく分けてオイル塗装やワックスなどの木材に浸透しやすい塗料と、ウレタン塗装やUV塗装などのコーティング系(塗膜で表面を覆うことを指す)塗装があります。
また、塗料の素材別では天然成分を主原料とした塗料(自然塗装)と石油を主成分とした合成樹脂塗料に分けられます。
それぞれの特徴などを紹介していきます。
オイル塗装

オイル塗装は、亜麻仁(あまに)油、荏胡麻(えごま)油、桐(きり)油、ヒマワリ油といった植物由来の原料で作られた塗料です。主に無垢フローリングに使われていて、フローリングの表面に塗膜を張るだけでなく、内部にまで染み込み(浸透)木材を保護する効果を発揮します。
オイル系塗料は木材の呼吸を妨げずに、フローリングの表面がしっとりとした、ナチュラルな風合いに仕上がるのが魅力です。その一方で、ほかの塗料と比較して傷や汚れがつきやすく、メンテナンスが難しい一面があります。
フローリングの保護力という面ではコーティング系塗装よりも劣りますが、無垢材の風合いを生かすためにはオイル系が欠かせません。
ワックス塗装

ワックス塗装は、蝋(ろう)を原材料とする塗料です。フローリングの表面に硬い塗膜を作り、木の質感を損なうことなく水分や洗剤から保護する効果が期待できます。
ワックス系の塗料は種類が多く、ミツバチの巣から抽出する蜜蝋を主成分とする動物性ワックスや植物性の蝋を使った商品もあります。天然系のワックス塗料は乾拭きすると光沢が増すものの、耐久性には劣るため、こまめに塗り直しが必要です。
近年はウレタン樹脂やアクリル樹脂を主成分とする樹脂系ワックスが主流で、美しい光沢があり、耐久性や耐摩耗性が高いため人気があります。
水性ワックスもありますが、耐久性が劣るため、頻繁に塗り直しが必要になりますので、現在はあまり使用されていません。
樹脂系ワックスは、ウレタン樹脂やアクリル樹脂などの合成樹脂を主成分とするワックスで、現在のワックスの主流となっています。
樹脂ワックスの特徴は、塗膜が硬く光沢があり、水分や洗剤に強く耐摩耗性があります。
ただし、施工は難しくなります。また、施工前には古いワックスの塗膜を剥離することが必要になります。

- 柔軟性のある厚い塗膜が形成される。
- 耐久性、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性に優れる。
- フローリングの保護効果は5年位。
- 密着性がよく、透明性のある美しい塗膜が形成される。
- 柔軟性はウレタン樹脂よりないが剥離作業は比較的簡単。
- フローリングの保護効果は1年程度。
- ウレタン樹脂とアクリル樹脂の特長を活かしたワックス。
- 現在のワックスの主流。
- 柔軟性と透明感を兼ね備えた仕上がりになる。
近年ではUV塗装が施されているフローリング材が主流です。
特徴は、鏡面のような仕上がりと塗膜の強度が高く、耐摩耗性・耐薬品性・耐熱性・耐溶剤性などにも優れている。のですが…
ただしこのUV塗は現場では施工ができないことや、機材や特殊塗料を使用するため商品が割高になります。傷は付きにくいのですが万が一付いた傷は、塗り直しができないので取り返しのつかないことになったりします。

フローリング塗装の手順について

フローリングをDIYで塗装するにあたってまず大前提としていただきたいのが、劣化していると感じる前に塗装する事を意識し始めてください。
上記で述べたように、腐食や毛羽立ちしてしまったフローリングでは、適切な道具・塗料を選んだところで綺麗に仕上げることはほぼ無理です。
そして、この記事を読んでいただいてフローリング塗装のDIYの全体像を把握したうえで手順の参考としてください。
道具を用意する
- 塗装用具
ニスハケやコテバケをお勧めします。ローラーは表面が荒れやすいので適しません
部分補修など狭い面積を塗る場合は、工作用のハケをお勧めします
- 研磨道具
180~240番のサンドペーパーが必要です。空研ぎサンドペーパーを推奨します
- ウエス
いらなくなった綿布で代用できます。タオル地は埃が出やすいので避けてください
- マスキングテープ
塗りたくない場所を保護するために使います
- 新聞紙やビニールシート
周辺の汚れ防止に使います
- ゴーグル、マスク、軍手やビニール手袋など
塗料の飛び散りによる汚れ防止に使います
- 汚れてもよい服装
衣類に塗料がつくと、きれいに落とせません
下地調整
どの塗料、どの場所・部位にも言える一番大切な部分が、この下地調整(下地調整)です。
ちなみに素地調整とは塗装されていない場所を調整(掃除・研磨等)する事を言います。
フローリング塗装においてはまず最初の難関となります。
フローリングについた汚れは、固く絞った雑巾で拭き取ります。傷やささくれなどがついている場合は、サンドペーパーで削って補修してください。最後に念入りに掃除機や掃き掃除をかけて、ホコリや削りカスをしっかり取り除きましょう。

フローリング研磨。
使い方にちょっとコツがいるがこれが最安かな?
ゲタパッド5枚で9,000円弱、ペーパー5枚で100円強。
研磨力と使いやすさはマシンペーパーが一番だと思う。
今月もう一件あるから、そこでマシンペーパーを試してみる予定。 pic.twitter.com/DYkKqGvI84
— ショーちゃん (@shoh_1) May 31, 2023

フローリングに合った塗料で塗装する
下地処理が完了したらいよいよ塗装となりますが、前に述べたように適切な塗料選びが大切です。
塗料を選び終えたら塗装のコツを参考にしてください。
- ワックス塗装
ワックスの種類や商品にあわせて、スポンジ、刷毛、布などを使ってフローリングに薄く塗ります。塗布後はしっかり乾燥させてから乾いた布で乾拭きし、光沢を出すようにします。
- オイル塗装
布や刷毛に染み込ませてオイルを少量取り、フローリングに薄く塗布します。ワックスを塗ったら、まずは乾いた布で乾拭きし、そのあとしっかり乾燥させましょう。
- ウレタン塗装
刷毛などを使って取り出し、フローリングに2回ほど重ね塗りをします。ウレタン塗装は乾きにくいため、塗布後はしっかり乾燥させてください。
フローリングを塗装する場合は、板の一枚ずつ囲うように塗装すると綺麗に仕上がります。端から順番に塗装するよりも断然綺麗に仕上がります。

さいごに
いかがでしたでしょうか。
DIY全てに通じる事かもしれませんが、一度始めてしまうと後戻りは出来ません。
フローリングDIYに関してはスリッパでも素足でも直に触れて質感を毎日感じる場所です。
個人的には難易度はかなり高く、失敗した場合の後悔もかなりのものだと思いますので、この記事をくりかえし読み直すなどして、成功率を高めていってくださいね。
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