今回は屋根についてです。
一般的に屋根の寿命は30年と認知されていますが、実際はどうなのでしょうか?
結論から言いますと、屋根の寿命は30年ではありません。
屋根材の種類によって異なりますが、もっと早いものもあれば遅いものもあります。
大事なのは「適切な時期に適切なメンテナンス」を行うことです。
屋根の劣化を放置しておくと、雨漏りが発生し、室内にカビが繁殖してしまいます。
それだけでなく、屋根材が落下し、最悪の場合は命の危険に繋がることもあります。
屋根の寿命とメンテナンス時期についてしっかり理解して、建物の安全を備えましょう。
【外壁アドバイザー】大屋敷竜二
塗装職人歴28年。中学卒業後、塗装業界に入り様々な会社で経験を積む。 塗装以外にも多能工として現在も修業中。
◎主に参加していた有名な現場:TDL・東京タワー・有名宿泊施設・戸建て・マンション等
屋根の寿命はどのくらい?

屋根材 | 耐用年数/寿命 |
スレート屋根 | 20年~30年 |
トタン屋根 | 10年~20年 |
瓦 | 60年~100年 |
ガルバリウム鋼板 | 30年~50年 |
アスファルトシングル | 15~30年 |
防水シート | 20年~30年 |
セメント系瓦 | 30年~40年 |
屋根の寿命はその種類によって異なります。
表にまとめた屋根材は日本で使われている一般的な屋根材です。
ご自宅の屋根がどの屋根に該当するのか?ひとつずつ見ていきましょう。


屋根の種類について
屋根の種類について紹介します。
スレート屋根

【耐用年数/寿命:20年~30年】
スレート屋根は厚さがわずか5㎜程の板状の屋根材です。
スタイリッシュなデザインと耐久性の高い屋根材で、セメントを主成分としています。
スレート屋根は、厚さ5mm程度の薄い板状の屋根材を指します。
トタン屋根

【耐用年数/寿命:10年~20年】
トタン板は板金と垂木を組み合わせた屋根の事です。別名、瓦棒屋根ともいわれていて、材料費や施工費が安く軽量であることが特徴です。
瓦

【耐用年数/寿命:60年~100年】
粘土を材料とした焼き物の瓦です。
瓦は高温で焼かれているため、強度と耐久性が高いです。
ガルバリウム鋼板

【耐用年数/寿命:30年~50年】
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板です。
耐久・耐熱性、加工性に強みがあります。そのため、住宅や店舗、工場など幅広く活用されています。
アスファルトシングル

【耐用年数/寿命:15~30年】
アスファルトシングルは、ガラス基材にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付け接着してある屋根材です。
シート状で扱いやすいため、比較的複雑な屋根形状にも活用されています。
防水シート

【耐用年数/寿命:20年~30年】
防水シートは雨漏り防止を目的とした、シート状の防水層です。
外壁材や屋根材だけでは、完全に雨漏りを防ぐことは困難であるため、用いられています。
セメント系瓦

【耐用年数/寿命:30年~40年】
セメント系瓦は川砂を混ぜ合わせて作られた屋根瓦のこと。
現在は製造が中止されており、新築でセメント系瓦を用いる事はまずないです。

屋根のメンテナンス時期はいつ頃がよい?

屋根材 | メンテナンス時期 | 耐用年数/寿命 |
スレート屋根 | 10年~15年 | 20年~30年 |
トタン屋根 | 7年~10年 | 10年~20年 |
瓦 | 30年~ | 60年~100年 |
ガルバリウム鋼板 | 15年~20年 | 30年~50年 |
アスファルトシングル | 7年~10年 | 15年~30年 |
防水シート | 10年~15年 | 20年~30年 |
セメント系瓦 | 20年~25年 | 30年~40年 |
屋根の劣化具合はなかなか見にくいものです。
目安として、ご自宅の築年数を考えて業者にメンテナンスをお願いするのをおすすめします。

屋根の劣化を放置しておくとどうなる?

屋根の劣化を放置しておくと、雨漏りが発生し、室内にカビが繁殖してしまいます。
その他にもシロアリの発生や、漏電による火災など、建物の寿命を減らす原因になります。
また、屋根材が落下し、最悪の場合は命の危険に繋がるケースも多々あります。
そうなる前にメンテナンスしましょう。
下記に、実際に屋根をメンテナンスしなかった為に起きた事例をいくつか紹介します。
腐食しており、雨漏り寸前
劣化によりビスが浮いてしまい棟板金も浮いて、その隙間から雨などが入りこみ下の木の部分に水分行き腐蝕してしまいました。
このまま放置しておくとさらに奥まで水が入り雨漏り原因となるでしょう治すことは大事ですが、屋根板金絡みの悪徳業者が多いみたいなので気をつけましょう。#さゆり工務店 pic.twitter.com/feA2g4jm2A
— さゆり工務店 三浦 (@SAYURI_M_T) June 16, 2024

長年放置による破損
艮神社奉賛会「令和の大改修」事業の一つとして向拝殿の銅板葺き替えを行っております。以前の屋根は戦前のものであり、経年劣化で一部雨漏りにより天井が破損している状態でありました。
ご参拝の皆様には、ご迷惑をおかけいたします。また、会員の皆様には、厚く御礼を申し上げます。 pic.twitter.com/zUqqkKN1TN
— 艮神社@福山市 (@ushitorajinja) June 14, 2024

劣化末期状態。瓦の落下
家は住まないと劣化します。
屋根の端部分の瓦が落下しての修理依頼。雨が溜まるような場所ではない為、軒裏の湿気が長年に渡り溜まっていたようで下地が腐り、先日の風雨で落下したようです。
怪我人もなく良かったです。 pic.twitter.com/gCtfWa7V0Q— mitsuyasu hara (@hamitarooo105) March 15, 2021


屋根の補修工事の費用相場は?

屋根の補修工事の相場は、その工法によって異なります。
戸建てを想定した場合、料金相場は下記の表の通りになります。
工法 | 費用 |
塗装 | 30万~70万円 |
葺き替え(ふきかえ) | 200万~400万円 |
カバー工法 | 100万~250万円 |
瓦交換 | 3000~4000円/1枚 |
板金交換 | 8000~1万円/1m |
漆喰補修(しっくい) | 2000~3000円/1m |
雨樋交換 | 4000~6000円/1m |
※戸建てを目安として
またこれにプラスして、足場代がかかる場合もあります。
塗装
塗装の相場は30~70万円です。
塗装と聞くとメンテナンスとしては、「ペンキを塗るだけか、、」と思う方もいるかもしれませんが、実は耐久性においては塗料は強力なのです。
屋根を長持ちさせられることに加えて、新しい屋根材が不要なため、他の工法に比べて値段は安くなります。
塗料の種類によって値段は異なります。
少し値段は高くなりますが、遮熱効果や防水・坊汚効果のある塗料を選ぶことで家の耐久性を高めることも可能です。
長期的に見たら、良い塗料を選ぶことで屋根の耐久が長持ちし、お金がかかりにくいというケースももちろんあります。
このあたりは、業者としっかり相談の上、決断することをおすすめします。
葺き替え(ふきかえ)
葺き替えの相場は、200~400万円です。
葺き替えは、既存の屋根材をすべてはがし、新しい屋根材に交換する工法です。
値段としては、葺き替えが一番高いです。ただし、耐久性は最も優れています。
既存の屋根材から変更して、新しい屋根材にすることも可能です。
例えば、スレート屋根からガルバリウム鋼板に変更するといったケースはよくあります。
家をどういう状態に保ちたいかを考えると、屋根材の選び方が決まりやすくなるかもしれません。
カバー工法
カバー工法の相場は、100~250万円です。
カバー工法は現在の屋根材に新しい屋根材をそのまま載せる工法です。
葺き替えのように既存の屋根材をはがすという工程がないため、工期は短めでホコリ等がたちにくいという利点があります。
ただし、屋根の重量が増えることから耐震性の低下の可能性があります。
また、屋根の破損や雨漏りがある場合はカバー工法はできません。
瓦交換
瓦交換の相場は、3000~4000円/1枚です。
その名の通り、既存の瓦を新しい瓦に交換する工法です。
板金交換
板金交換の相場は、8000~1万円/1mあたりです。
写真の部分が板金です。

漆喰補修
漆喰補修の相場は2000~3000円/1mあたりです。

引用:やねやねやね
雨樋交換
雨樋交換は、4000~6000円/1mあたりです。

まとめ
いかがだったでしょうか。
屋根は家を守るために非常に重要な役割を持ちます。
ご自宅の屋根のタイプがどれに当てはまるか、じっくり確認して補修を検討してみてください。
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